温暖化や感染症など、生きる基盤である地球が揺らいでいる現代、人間の生の営みはどう変わるのか。本書は、哲学、文学、人類学、建築、歴史など、さまざまな分野の研究者たちによる、新たな人文学を拓く試みである。人間中心主義を換骨奪胎し、変転しつづける環世界と人間の関係を追う。 「生きる営みとは、いまの自分たちさえ生きていければよいというものではない。それは未来への責任を自覚して行動することであり、人文学の役割とは、そのために必要な歴史的事実・世界観・現状認識・思考方法などを提示することである。思考を重ねた結果、目の前に現れた未来の選択肢は、現在の我々の知性や感覚からすると、不自由な世界かもしれない。だが、それも現在の我々からみた偏った価値判断にすぎない可能性があるのである。現在の知性や感覚を越える未来の創造が求められている。」(「はじめに」より)

環世界の人文学: 生と創造の探究
編著:石井 美保, 岩城 卓二, 田中 祐理子, 藤原 辰史
出版社:人文書院
体裁:A5・479ページ
定価:本体6,800円+税
ISBN:9784409041154