天皇が国家の頂点に立った近代、天皇制は人びとにどのように受け入れられていったのか。
社会における受容のありよう、権威を高めていった顕彰という行為の具体的検証を通して、天皇不在の社会へ天皇制が浸透していく過程を描き出す。
明治維新から戦後まで、現代の象徴天皇制へとつながる近代天皇制を、「社会」をキーワードに検討する意欲作。
近代天皇制と社会
思文閣
編者:高木 博志
定価:7,300円(税別)
判型・ページ数:A5判・552頁
ISBN:978-4-7842-1955-1
目次
- 序論に代えて―近代天皇制と顕彰―(高木博志)
第Ⅰ部 近代天皇制と顕彰
- 神武陵と橿原神宮の周辺―国家神道・教派神道再考―(幡鎌一弘)
- 神功皇后伝説の地域的展開と「皇国」意識―金沢の八幡信仰とその表象―(本康宏史)
- 明治前期の陵墓・皇霊祭祀の特質(上田長生)
- 明治期における地域の楠公父子顕彰(尾谷雅比古)
- 近代遙拝所と地域社会―奈良県下の事例を中心として―(市川秀之)
- 神国大博覧会開催計画とその行方―昭和初期における松江観光都市化戦略とその帰結―(能川泰治)
- 中島久万吉筆禍事件の社会的背景(廣木尚)
- 「国体明徴」と宗教運動(福家崇洋)
第Ⅱ部 社会のなかの天皇制
- 明治維新と画壇の再編(中野慎之)
- 森有礼「不敬」・暗殺事件顛末―虚実の報道を通して―(田中智子)
- 明治中期の皇室と社会―長野県横川山御料林における天皇・皇室の「不在」―(池田さなえ)
- 近代天皇制と大麻問題(ジョン・ブリーン)
- 大正・昭和戦前期の伊勢神宮参拝の動向―娯楽とナショナリズムの両側面から―(平山昇)
- 天皇制ファシズムと地域社会―「勝つために戦ふ村」の虚構と現実―(遠藤俊六)
- 三笠宮の「史学会発言」と社会(河西秀哉)